3 対馬祥太郎、オーロラ前夜の頃

シングル『ホログラム』のリリースの頃、後に『オーロラ』と名づけられることになるセカンドアルバムへ向けての曲作り合宿で録ったという新曲のデモを特別に聴かせてもらい、それを基に取材をしたことがありました。その時に渡されたのはバンドで録った3曲分のデモが入ったCD-Rだったのだけど、そのデモが、本当に生々しいまでの「デモ」だったことにかなり驚いた記憶があるのです。

音楽雑誌の編集&ライターという仕事柄、デモを聴かせてもらう機会は結構あるんだけど、とはいえ大抵の場合は、ある程度、完成形が想像できる状態まで詰められたデモであることが多い。それに対して、この時にNICOからもらったデモ音源は、「ああ、これが曲になっていくんだな」という始まりを感じさせるものでーー要するに、ほとんどのバンドだったら外部の人間に聴かせることを嫌がるであろう、本当にまだ原石状態のデモだったのです。逆に言えば、そういう状態のデモ音源をメディアである私達に聴かせることができたところに、当時のNICOの強さと勢いを感じたのでした。

その取材の時に「最近4人の足並みが揃ってきて、地に足つけてやっていこうっていう感じになってきた。視野も広がって、自分をスムーズに解放できるようになってきてるんです」と話してくれたのは、対馬。以前発売された『NICOと僕と』の中にメンバーそれぞれが「5つの転機」を語るという企画インタヴューがあるのだけど、その時に光村が挙げたひとつめの転機は「対馬君が入ったこと」でした。光村は「対馬君が入ったことで、自分が想定していたNICO Touches the Wallsじゃなくなった。固定概念が崩されて、凄くイメージが膨らんだ。そこは本当に大きかったんです」と言っていたけれど、まさに、激しさと繊細さを併せ持ったドラムでバンドの屋台骨を支えつつ、時に起爆剤的な役割を果たす対馬の存在は、そのキャラクターも含め、昔も今もNICOの中でいいスパイスであり続けているなぁと思います。

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