5 光村龍哉、HUMANIAの頃

第4回で書いたように、『PASSENGER』から『HUMANIA』までの間、ひたすら楽曲制作とライヴを繰り返す「音楽漬け、NICO漬け」の日々を過ごしながら、自分達の音楽を掴み獲ろうとしていたNICO。その果てに生まれた『HUMANIA』は、それぞれが他ならぬ自分自身をNICO Touches the Wallsの中に露にした、つまり、本当の意味で4人がNICO Touches the Wallsになったことを感じさせる作品になりました。

中でも、一番変わったのは、やはり光村で。『HUMANIA』リリース時、MUSICAでは初めてNICOに表紙を飾ってもらったのですが、その時に光村と3時間におよぶロングインタヴューをしました。それこそバンドの最初期からその時々に節目となった楽曲を振り返りながら、表現者としての光村龍哉の変遷を追っていくインタヴュー。終わった頃には光村も、インタヴュアーである私も、話し疲れてクタクタだったんだけど、その時のインタヴューはかつてなく彼の本音が零れ落ちたインタヴューになったと思います。
インタヴュー中、「今回の『HUMANIA』や『PASSENGER』では、もう1回自分の本音だけを音楽の中で綴っていくってことをやった」というふうに語ってくれた光村。小さい頃から楽曲を作り始めた光村は、ソングライターとしてとても器用であるがゆえに、表現者としてはどこか不器用な部分もあって。けれど、『PASSENGER』~『HUMANIA』へと取り組んでいく過程で、徹底的に自分と音楽に向かい合った光村は、NICOの中に自分自身の音楽性や表現性を臆することなく解放していくようになりました。その結果、NICOの音楽はそれまでよりも格段に自由なエネルギーと大きな普遍性をもったものへと進化することができたのだと思う。光村龍哉という音楽家、NICOというバンドにとって、大きなターニングポイントを刻んだ瞬間でした。

MUSICA

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